及川真平

連絡先

茨城大学大学院
理工学研究科/理学部
A棟303号室
水戸市文京2-1-1
310-8512

茨城大学
地球変動適応科学
研究機関
水戸市文京2-1-1
310-8512


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Last update:
Dec 5, 2020

Copyright Shimpei
Oikawa © 2010
研究内容 わたしたちの研究室では、野生植物と作物の環境応答に関するテーマに取り組んでいます。

葉の老化・枯死の適応的意義と生理生態学的メカニズムの解明

なぜ葉は老化し枯れるのか? - この問いに答えることを究極の目標として研究を進めています。葉の基本的な役目は、光合成により炭素を固定することです。葉が若いときは光合成の能力が高いのですが、時間とともに能力は低下します。従来、光合成ができなくなる(みかけの光合成速度がゼロになる)とき、葉はその役目を終え、枯れるのだと考えられてきました。この考えは (1) 土壌窒素が多い場合には正しいこと、しかし (2) 土壌窒素が少ない場合には、まだ光合成できる葉でさえも枯れてしまうことを、大学院生のときに行った実験で明らかにしました。まだ光合成できる葉が枯れるのは一見非合理的に思えますが、葉が枯れるときには葉がもつタンパク質を分解し、窒素をより若い葉に送り再利用することができます。老化した葉がもつ窒素を若い葉に送ると、単位窒素あたりの光合成速度が高くなり、植物全体の炭素獲得量が増加することが分かりました。つまり、葉の枯死は、生産性を高める植物の戦略であると考えられます(これらの研究について日本生態学会誌に解説を書きました こちら)。しかしこれらはポット育成した一年草を用いて得られた結果であり、野生に生育する異なる生活史の植物に一般化できるのかどうかが分かっていません。現在、研究室のメンバーとともに茨城県内の落葉樹林で野外測定を行っています。
(本研究は「科研費」と「笹川研究助成」の支援を受けて行っています。)




老化する葉からの窒素の回収と再利用; 窒素固定する植物としない植物の比較

葉の老化時に、どれくらいの窒素が回収されるのかについて研究しています。窒素は植物の成長・繁殖において最も要求量の大きい栄養塩ですが、自然界ではしばしば不足します。植物は、老化する葉から窒素を回収・リサイクルすることで、土壌から吸収した窒素を大切に利用します。一般に、若い葉が持っていた窒素の約5-6割が回収されることが分かっています。一方、マメ科植物のような窒素固定菌と共生する植物は窒素を潤沢に持つこと、窒素の回収にはコストがかかると考えられることから、窒素固定植物における回収の程度は低いと考えられています。しかし、私が過去にとったダイズとヤチヤナギ(どちらも窒素固定する)のデータを見てみると、窒素固定しない植物と同じくらい窒素を回収していました。そこで、窒素固定植物の窒素回収が低いというもっともらしい説明が本当なのかどうか、根本から疑ってみることにしました。現在、研究室のメンバーとともに、茨城県を中心とした温帯の野生植物と圃場育成の作物を対象に研究を進めています。また、老化葉からの窒素回収の違いを決める要因を明らかにするため、葉の生化学分析や土壌栄養塩濃度の分析を進めています。
(本研究は「科研費」と「公益財団法人 日本生命財団 若手研究・奨励研究助成」の支援を受けて行っています。)




地球環境変化が作物の窒素利用と生産性に及ぼす影響

大学院在籍時、農研機構東北農業研究センターのグラディオトロン実験施設を用いて,根粒着生・非着生2系統のダイズを育成して得たデータをもとに,高CO2と窒素固定が相互作用を介して成長と繁殖を決める機構、葉面積と窒素のダイナミクスに与える影響を解析しました。ポスドク時代には、イリノイ大学のFACE実験施設において、大気汚染物質オゾンがダイズ群落の構造と機能に与える影響を解析しました。その後、独立行政法人農業環境技術研究所によって茨城県つくばみらい市に設置されたイネFACE実験施設において,大気CO2濃度と土壌窒素が水田イネ群落の葉面積に与える影響を調べました。植物群落は陸上生態系の構造を決めると同時に,葉群は一次生産の単位です。葉面積とそのダイナミクスに関する研究は環境変化が生態系に与える影響を明らかにするための要だと考えられます。両FACE実験の結果は、現在論文をまとめているところです。最近は、研究室のメンバーとともに、老化するイネの葉からの窒素の回収に大気CO2濃度と水温、土壌窒素が与える影響を研究しています。老化する葉から回収しきれなかった窒素は、枯葉とともに土に還ります。枯葉の窒素濃度はリター分解速度、ひいては土壌の化学組成や窒素可給性に影響します。水田のような嫌気性な環境では、メタンや一酸化二窒素などの温室効果ガス生成にも影響しえます。品種間の応答の違いに着目して測定を行っています。




栽培化が植物から奪ったものを探す

作物の成長速度や収量は、品種改良や農業技術の進展によって著しく増加してきました。しかし、作物の種子が畑の外に飛散し定着することはあまりありませんし、ましてそれらが分布を拡大し野生植物を脅かしたという話はほとんど耳にしません。なぜでしょうか?現在、大学院生の冨樫さん(博士後期課程)を中心とした研究室のメンバーとともに、野生ダイズと栽培ダイズの比較研究を進めています。最近、野生イネの栽培を始めましたが、私のような素人には不可解な現象が多く、野生イネについて書かれた本を読み勉強しています。
(本研究は「茨城大学イノベーション研究推進プログラム」の支援を受けて行っています。)




寄生植物ネナシカズラの生態学的研究

寄生植物ネナシカズラは、発達した葉を持たないつる状の植物です。この植物は、寄生根を宿主植物に突き刺し、宿主の水や栄養塩、光合成産物を奪い取ります。どうしても寄生植物の研究をしたいという学生がやって来まして、私の指導範囲を超えると答えたのですが、あきらめてくれなかったので研究することになりました。とはいえ寄生というのは興味をそそられる現象ですし、また寄生行動について生理的・生化学的メカニズムについての究明は非常によく進んでいる一方、その生態学的意義や環境への影響についてはあまり着目されていないようです。これから何がわかってくるのか、とても楽しみなテーマです。(写真: クズに寄生するネナシカズラ. 黄褐色のヒモのようなものがネナシカズラです.)
(本研究は「「藤原ナチュラルヒストリー振興財団」」の支援を受けて行っています。)




地域環境問題の緩和に向けたとりくみ

2018年度より新たにスタートした研究です。地球・地域環境問題というのは、個人がより多くの利益を得ようとする行動が、全員にとっての不利益をもたらしている状況と考えることができます(Garrett Hardin, 1968)。これらの問題は、個人が多く利益を得すぎないような法律や罰則によって緩和することができます。しかし、法律や罰則をつくり維持することには、多大なコストがかかります。環境問題のさらなる緩和のためには、個人の理解に基づく制御が不可欠です。どうしたらそれを導くことができるのか、科学者による客観的データの提示がそれにどう貢献できるのか、ということを探ります。茨城大学の様々な学部(教育、工学、農学、理学、ICAS)のメンバー+京都大学1名で研究を行っています。
(本研究は「「NEXCO東日本技術研究助成」」の支援を受けて行っています。プロジェクトのウェブサイトはこちら。)









研究施設・ツール・モデル

実験室・実験圃場
普段私たちが利用・管理している施設・ツールです。(こちらupdated

その他の研究施設
私たちが管理しているわけではないのですが、利用させて頂いている/お世話になっている研究施設です。(こちらupdated

群落光合成モデル
群落光合成モデル(葉群光合成モデルともいいます)は、一般には、植物群落全体の光合成速度を推定する手法・モデルとして知られていますが、少し工夫すると、群落のなかの1個体1個体の光合成速度、さらには葉っぱ1枚1枚の光合成速度を推定することもできます。(こちら









担当講義(2021年度)

生物科学トピックス(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部1年生以上対象 前期1単位(対面で実施予定です)
生物学安全実験法(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位(オンラインで実施します)
生態学実験(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位(オンライン+対面で実施予定です)
生物学基礎(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 第1クォーター1単位(オンラインで実施します)
生態学II(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期2単位(オンラインで実施します)
生理生態学I(旧生理生態学)(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(オンラインで実施予定です)
生理生態学演習(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(オンライン+対面で実施予定です)
機能生態学(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院後期課程1年生以上対象 前期2単位(オンラインで実施予定です)


担当講義(2020年度)

生物科学トピックス(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部1年生以上対象 前期1単位(オンラインで実施します)
生物学安全実験法(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位(オンラインで実施します)
生態学実験(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位(オンラインで実施します)
生物科学野外実習(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位(対面とオンラインで実施します)
生物学基礎(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 第1・第2クォーター各1単位(オンラインで実施します)
生態学III/植物生理生態学(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 後期2単位(オンラインで実施します)
生理生態学I(旧生理生態学)(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(オンラインで実施します・チームコードはメールでお問い合わせください)
生理生態学演習(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(オンラインで実施します・チームコードはメールでお問い合わせください)
機能生態学(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院後期課程1年生以上対象 前期2単位(オンラインで実施します・チームコードはメールでお問い合わせください)


担当講義(2019年度)

大学入門ゼミ(分担)(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 前期2単位
生物科学トピックス(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部1年生以上対象 前期1単位
生物学安全実験法(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位
生態学実験(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位
生物科学野外実習(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位
生物学基礎(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 第1・第2クォーター各1単位
生態学III/植物生理生態学(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 後期2単位
生理生態学I(旧生理生態学)(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(多分、2018年度に開講、2019年度は開講しません)
生理生態学II(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(多分、2018年度は開講せず、2019年度に開講すると思います)
生理生態学演習(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位
機能生態学(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院後期課程1年生以上対象 前期2単位


担当講義(2018年度)

大学入門ゼミ(分担)(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 前期2単位
生物科学トピックス(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部1年生以上対象 前期1単位
生物学安全実験法(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位(2018年度から新しく始まる授業です)
生態学実験(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位
生物科学野外実習(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位
環境と人間/生物の多様さと人間の活動(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 第3クォーター1単位
生態学III/植物生理生態学(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 後期2単位
生理生態学I(旧生理生態学)(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(多分、2018年度に開講、2019年度は開講しません)
生理生態学II(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位(多分、2018年度は開講せず、2019年度に開講すると思います)
生理生態学演習(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位
機能生態学(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院後期課程1年生以上対象 前期2単位
植物生理生態学2(鳥取大学)学部2年生以上対象 第2クォーター1単位


担当講義(2017年度)

大学入門ゼミ(分担)(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 前期2単位
生物科学トピックス(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部1年生以上対象 前期1単位
生態学実験(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位
生物科学野外実習(分担)(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 前期集中2単位
環境と人間/生物の多様さと人間の活動(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 第3クォーター1単位
環境と人間/生物と地球環境変化(茨城大学 基盤教育科目)学部1年生以上対象 第4クォーター1単位
生態学III/植物生理生態学(茨城大学 理学部専門科目)学部3年生以上対象 後期2単位
生理生態学特講/環境植物学特講(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位
生理生態学特別演習/環境植物学特別演習(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位
機能生態学特論(茨城大学 大学院理工学研究科)大学院後期課程1年生以上対象 前期2単位


担当講義(2016年度)

身近な生物学(茨城大学教育学部・人文学部)学部1年生以上対象 前期2単位
生物科学トピックス(分担)(茨城大学理学部)学部1年生以上対象 前期1単位
生態学実験(分担)(茨城大学理学部)学部3年生以上対象 前期集中2単位
生物科学野外実習(分担)(茨城大学理学部)学部3年生以上対象 前期集中2単位
生態学III/植物生理生態学(茨城大学理学部)学部3年生以上対象 後期2単位
生理生態学特講/環境植物学特講(茨城大学大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位
生理生態学特別演習/環境植物学特別演習(茨城大学大学院理工学研究科)大学院前期課程1年生以上対象 後期1単位
国際実践教育演習(分担)(茨城大学ICAS)大学院前期課程1年生以上対象 前期集中2単位
機能生態学特論(茨城大学大学院理工学研究科)大学院後期課程1年生以上対象 前期2単位









社会活動等

日本生態学会, 全国大会検討委員会 (2003)
日本生態学会, 大会企画委員会 (2008-2011)
筑波大学GFEST, チューター教員 (2014)
日本生態学会, 大会企画委員会 (2015-2018)
茨城県北ジオパーク, 講師 (2017)
Journal of Plant Research, Editorial Board Member (2017-2020)
Journal of Plant Research, Editorial Board Member (2021-present)
環境省モニタリング1000里地里山 代表者(2018-present)

論文査読(レフェリー) 以下の学術誌に投稿された論文の査読を担当しました。
Annals of Botany; Crop Pasture Science; Ecological Modeling; Ecological Research; Environmental Pollution; Folia Geobotanica; Functional Ecology; Journal of Ecology; Journal of Forest Research; Journal of Plant Research; New Phytologist; Photosynthesis Research; Photosynthetica; Physiologia Plantrum; Plant, Cell & Environment; Plant and Soil; Plant Physiology; Plant Production Science; Plant Species Biology; Polar Biology; Royal Society Open Science; Science of the Total Environment; Tree Physiology; Tropics; Weed Science; 日本生態学会誌; 光合成研究 etc.